2025年徳山ダム導水路現地見学ツアー報告
「長良川河口堰建設に反対する会」も参加している「よみがえれ長良川実行委員会」主催の 徳山ダム導水路現地見学ツアーが開催されました
このツアーは「なごや環境大学」に応募し参加することで補助を受けて開催しました
徳山ダム導水路はダムの水を下流の西平ダムまで落とし、
そこから地下導水路で犬山市の木曽川まで水を運び、愛知県や名古屋市が利用するものです
そしてその途中にある長良川にも渇水時には放流する計画となっています
この事業は、その目的が曖昧で、事業内容にも様々な問題点をかかえている無駄な公共事業だと言えます
その点を指摘したよみがえれ長良川実行委員会が発行したパンフレットがこれです
今回のツアーの行程は、その地下導水路が通る場所のポイントを見学しました
集合は朝8時45分JR岐阜駅前、参加人数は46名でした
ここから貸し切りバスに乗車し、午前9時に徳山ダムに向けて出発です
バスの中では、よみがえれ長良川事務局長の武藤さんから導水路計画の内容や問題点を聞いたり
近藤ゆり子さんから徳山ダムの建設の経緯などを聞いたりして過ごし、現地到着です
ここは導水路に流す水を供給するだけなので工事などはなく、参加者の方は自由見学しながら交流です
この日は曇りでしたが、ダム湖の向こうの能郷白山には残雪が見えました
最後に集合写真を撮影しました(参加自由なので全員ではありません)
次は、下流の西平ダムへ移動
ダム湖の橋の上からの風景ですが写真中央の左岸辺りに取水口ができる計画となっています
もちろんまだ調査費がついている程度で工事はまったく始まっていないため
このような風景の場所に取水口ができるということを知っていただくだけです
そのダム湖に掛かる橋の上から見学し、よみがえれ長良川実行委員会の粕谷代表から
この水を長良川に流すことでどのような環境への影響が予想されるかについて説明を受けました
よみがえれ長良川実行委員会では、この場所と長良川の千鳥橋で採取した水を
毎月比較調査した期間がありました
その結果、この西平ダムの水が常に4〜5度低い結果が出ています
粕谷代表は、西平ダムの水の色を見て、ダム湖の水は珪藻類を多く含んだ水で、
その低水温の水が地下トンネルを通り、水温が高い長良川に流されることで
水温差による層ができ長良川に放水される場所から下流がしばらくの区間2層になり
底の環境が悪化することが予想されると説明されました
午前中はここまでの行程で終了
午後は長良橋上流の鵜飼会場の見学から始まりますが
途中の道の駅織部の里で1時間ほど昼食休憩
この日は休日とあってかなり混み合っていました
午後はまず長良川のほとりにある鵜飼ミュージアムの駐車場にバスを止め、
歩いて鵜飼会場付近の長良川を見学
鵜飼ミュージアム入り口です
ミュージアムの中を抜け長良川の堤防から川を眺めます
ここをツアーに入れた理由は、
この場所が導水路から出る水によってもっとも影響を受ける場所であるからです
写真中央奥に少しだけ鵜飼大橋の柱が写っていますが、
その橋の上流に放水が計画されている岩舟川の長良川への合流地点があります
折しも5月11日は毎年鵜飼が開幕する日でありアユ漁の解禁日でもあります
渇水時だからこそ、徳山ダムの湛水を流す影響が大きいことが考えられます
最後にここでも集合写真を撮影
導水路事業を中止して長良川河口堰の開門が長良川の環境改善の最良の方法である事を訴えました
ここでの見学を終え、いよいよ今回のツアーの最終地点の犬山の木曽川に向かいますが
途中、長良川への放水口が計画されている2ヶ所をバスの中から見学しました
1ヶ所目が鵜飼大橋からすぐ上流の志段見にある岩舟川です
手前に長良川が流れています。(堤防道路から後日撮影)
2ヶ所目は少し上流の長良古津の用水(同じく後日長良川の堤防道路から長良川に向けて)
この場所は長良川の堤防道路内側ですでに長良川の河川敷にあたります
ここ長良川古津は天皇家の御料場で禁漁区となっています
その場所に徳山ダムの湛水を流す計画なのです
ここから犬山市までは時間があるので、バスの中では名古屋市の水道の歴史を
「なごやの水道100年そして未来へ」というビデオで勉強
その犬山の木曽川にある名古屋市水道の取水口がここです
犬山遊園駅から車で上流に10分ほどの距離の所にあります
この上流の坂祝町の木曽川右岸側に放水口ができる計画となっています
横には看板もあります
ここを見学にきた理由は、名古屋市の河村前名古屋市長が導水路建設を容認したことで
これまで止まっていた導水路計画が動き始めたためで、そこにも多くの問題点があるので、この場所をとりあげました
その問題点を名古屋市水道局の元職員である、よみがえれ長良川実行委員会事務局長の武藤さんがここで説明
・名古屋市はすでに水余りの状況で新規の利水事業は必要なく、無駄な公共事業である
・事業費が890億円から2,270億円の2.5倍になり名古屋市の負担も増えるにもかかわらず
さらに名古屋市は追加で50億円をかけ導水路からの直接取水を計画している
当然そのツケは水道料金反映され値上がりするのが必至であり、名古屋市民が負担することになる
・無駄な事業にお金をかけるなら、老朽化している下水道インフラの再整備にお金をかけるべき
などと訴えました
これでツアーの全行程は終了
名古屋方面からの参加者の方は名鉄犬山遊園駅でお別れし、
最後は集合場所であったJR駅前まで戻り解散となりました
朝9時から午後6時頃までの長丁場でしたが、
体調を崩される方もなく無事終了することができました